日本初の女性一級醸造技能士 椎谷 和子さん
2020.08.06 Thurs
新潟県新発田市には市島酒造がありますが、そこでは日本初の女性一級醸造技能士が活躍されていました。
市島酒造内でインタビューをされていましたので酒ツアーでも公開させていただきました。
--椎谷さんのインタビュー内容 --------------------------------------------------------
私は農家に嫁いで、農業をやっていたんです。それがある時、知人から「市島酒造さんでおかって(炊事)の働き手を探しているんだけど、やってみない」と誘ってもらったんです。秋から春にかけて行われる酒造りに従事する蔵人たちのご飯炊き。おかってには大きな釜がありまして、お湯をもらいに蔵人たちが1日に何回も出入りするんです。私も仕事のかたわら、蔵人の仕事を見てたんですね。そしたら、一生懸命、黙々と働く姿がカッコよくってね。次の年の秋、お願いしたんです。「造りに入らせてもらいたい」って。そうしたら、良いよって採用されて。当時、私の他に、瓶詰め、造りの手伝いに女性が5、6人いましてね、その人たちと一緒に働くようになりました。力仕事が多かったけど、本業は農家。全く苦にはならなかったですね、それよりも自分が蔵人になれた喜びが強かったですね。
試験に向け、勉強している杜氏の姿に憧れて
そうして蔵で酒造りのお手伝いをしていたんですが、また転機がありましてね。昭和49年から始まった酒造技能士の検定試験です。始まった年に、杜氏と副杜氏が受験したんですが、その試験勉強をしている姿が素敵でね。それに試験が面白そうに映ったんです。で、試験を受けさせてほしいって翌年、杜氏に言ったんです。そうしたら、「せっかく受けるなら一級を受験しなさい」って言っていただいたんです。そこで昭和50年は働きながら、帰って家で勉強。睡眠時間は3時間程度という日も多く続きました。そうして、受験したら、合格の通知がきまして、正直自分でも驚きました。憧れから始まった受験でしたから。もちろん受かるつもりで必死に勉強したけども、そうしたら女性で受かったのは、一級、二級をあわせても私1人だって聞かされて二度ビックリですよ。
それからはもっと日本酒造りとの距離が近くなって、お酒の分析をしたり、しぼりをしたり、酒母造ったり、室に入って麹作ったり……。本当に男性と同じお仕事をさせていただきました。平成15年に退社するときに、実感したんです。「私は人が好きなんだ」って。働いている人、勉強している人……。たまたまご縁をいただいた市島酒造さんで多くの人たちに出会いました。人の口に入るものだからより丁寧に、真摯にものづくりを行う方々に。だから39年もの間、働くことができたんだと思います。だって、楽しかったもの、毎日。
--以 上 ---------------------------------------------------------------------------------
日本の伝統はこのように引き継がれているのだと考えさせられ感動し掲載させていただきました。
ありがとうございました。
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